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2017年3月26日日曜日

2017年漆の旅

鹿児島県に行ってきました。
鹿児島県姶良市には「漆」という地名があります。

まずは、姶良市立歴史民俗資料館へ。


ここへ寄ったのは、南九州特有の石造道祖神
「田の神様」を見学するのが目的でしたが、
館内には郷土資料がたくさん!
宝探しのように読み漁りました。

『鹿児島県の地名』という本の「漆村」という項目に
漆地名の由来が詳しく書かれていました。

それによると、漆には、かつて漆畠があり、
寛政12(1800)年の頃は「漆田村」と呼ばれていたそうです。

砂金がとれたため、嘉永年間に三年間だけですが、
鹿児島藩の大良金山として操業したとか。

受付のおじさんにも漆について尋ねてみましたが、
郷土誌に精通されている方で、本に書かれていたようなことを
すべてご存じでした。

やはり、地元の方の間でも、
「昔はウルシノキが植わっていた」と
言われているそうです。

漆への道順も丁寧に教えてくださいました。

おじさんから教えられたとおり、
「えっ、こんなところ車で通れるの?」と、
ドキドキはらはらの細い山道を往きます。

対向車が来たら離合できるのだろうか?
 ※離合(りごう)
最近、方言だと知りました (^^;
車同士が行違うことです

「…と恐る恐る走るうちに、
パッと開けて田んぼが広がるよ!」
これまたおじさんの予言通りの展開。


まずは、漆小学校を訪ねます。
日曜日で人気のない学校。

美しい木造の体育館や昭和のままの風景に
懐かしくて胸キュンです。


漆郵便局もあるぞ!
なんだか嬉しくなる、漆ワールド♪

田の神様も鎮座。


現地で薪を割っていたおじさんにも
漆地名について聞いてみましたが、やはり、
「昔ウルシノキが生えていたと聞いた」
とのこと。

その漆で何を作ったかはわからずじまいですが、
郷土史の本では、近隣の地域に
刀工、鉄砲鍛冶、馬を飼う牧などの
記述が見られるので、
あくまでも憶測ですが、
武器や兵器に塗るために植栽されていた
のかもしれません。

漆は甲冑の塗料として使いますし、
刀の鞘も漆塗りです。
金属の錆止めにも漆が塗られていました。

秋田県の川連塗りは、
軍需産業として漆塗りをしていたものが、
江戸時代に生活漆器へ転換したものです。

ともあれ、
現在の漆地区はなんとのどかなことでしょう。
帰りたくないエネルギーが満ちる場所です。

後ろ髪ひかれつつ、
「またいつか」
と、田の神様に約束して
漆を後にしました。