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2016年12月5日月曜日

何かが起こる予感2






これが漆の実です。
まずはこの表皮をむきます。


これが中に入っている実です。

蝋に包まれているので、
このままでは発芽しません。

自然界では鳥が実を食べ、
消化するうちに脱蝋され、
種になるわけです。

そういうわけで、
「実生/みしょう」といって、種から発芽させて
苗を取るのは難しく、
渡邉さんも、苦戦されていたそうです。


ところが、
知人で今回ご一緒した梶原さんは林業家。

難しいとされていた「実生」に成功され、
既に苗をたくさんお持ちです。

今回、1年ものの苗をいただいたので、
さっそく鉢に植え替えました。

発育の良い苗を選んでくださったそうで、
現在11cmです。


奥の大きな鉢3つは、漆屋さんを通して入手した
3年ものの苗で、25~30cmあります。

園芸と言っても、
猫草を育てたことぐらいしかないので、
相当頑張らなくては!


ウルシノキ栽培経験者の渡邉さん
実生の技術をお持ちの梶原さん。
私達は何ができるのだろう?

なぜか最近、山をお持ちの方との出会いが多く、
ウルシノキを植えたいとのお話もいただいています。

何かが起こりそうな予感ですね。

さしあたり「ぬり松、」の役割は
人と人をつなぐことでしょうか。

そして、私達のような素人でもウルシノキを
育てられるようノウハウを蓄積できれば。
と思います。


さて、
弥生時代の漆文化は北部九州から始まりました。

ここは多く美やさんから車で10分ほどの
柚比本村遺跡です。
説明板が立っているだけですが、
どうしても一度訪れたかった場所。

ここから赤漆玉鈿装鞘銅剣が出土しています。
赤漆塗りの鞘に、螺鈿のように碧玉を貼っています。
なんとまぁ、美しいのでしょう。
赤漆は弁柄(酸化鉄)だそうです。

このような出土品を塗るための漆液は、
どこから調達したのでしょうね。

福岡県では、
八女市に「漆谷」
嘉麻市には「漆生」という地名があります。

鹿児島県姶良市には「漆」の地名に
漆小学校までありますよ。

宮崎県の西米良村は、
子供の頃に、『まんが日本昔ばなし』で見た
龍の淵」の伝承地。

“うるし兄弟”と呼ばれるタイプの昔話です。


九州でも漆が盛んに栽培・利用されていた
時期があるはずです。


ウルシノキから漆液を掻けるようになるまで、
10年かかります。

いつか、九州産の漆で
制作できる日が来ますように。